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交通事故と労災・自賠責

労働者が業務中または通勤途中で交通事故に遭った場合は、労働者災害補償保険法に基づき、被った損害について労災保険から保険給付を受けることができます。
交通事故が労災事故であった場合、労災申請をするのが当然です。業務上の事故であった場合、労災申請しないと労働基準法違反を問われることもあります。
したがって、交通事故の場合1つの事故で労災保険と自賠責の2つの保険が絡んでくることとなります。 

労災保険と自賠責の両方から二重に補填されることはありませんが、どちらの保険を先行させるかにより受け取る金額が違ってきます。どちらを先行させたほうがよいかは、ケースバイケースです。ご自身で判断することが難しい場合は、当事務所にお問い合わせ下さい。

労災保険のメリット

過失割合に関係なく、被災労働者の過失割合が高い場合でも治療費の全額が支払われます。
一部負担金(窓口負担)はありません。(通災の場合初回のみ200円の一部負担金あり。)
自賠責保険は、「治療費、休業損害等の保険金額の上限120万円」という限度がありますが、労災保険にはこうした金額の上限がありません。
労働福祉事業から特別支給金の支給や外科後処置や脊髄損傷者・頭頚部外傷症候群等に対するアフターケア等の手厚い保護が受けられます。
また、特別支給金は、損益相殺の対象にはなりません。
例えば、交通事故により休業した場合、労災保険から給付基礎日額(平均賃金)の60%に相当する休業補償給付がなされ、残りの40%について加害者に請求し損害賠償を受けます。それに加え、労災保険の労働福祉事業から20%に相当する休業特別支給金が支払われますが、この20%については、加害者の損害賠償との相殺はされない為、トータルで休業損害に付き120%の給付を受けられることとなります。
仮に、何らかの事情で相手方の保険会社が任意一括で対応し、休業損害について100%の支払いをしている場合であっても、休業特別支給金のみの請求が可能です。同様に、障害特別支給金のみの請求も可能です。詳しくは当事務所にお問い合わせ下さい。

交通事故の示談がなされ、賠償金を相手方から受領していたとしても、事故後3年を経過すれば傷病(補償)年金、障害(補償)年金、遺族(補償)年金を請求することができます。  

交通事故の示談がなされ、賠償金を相手方から受領していたとしても、事故後2年以内を経過すれば障害基礎年金・障害厚生年金を請求することができます。
障害基礎年金および障害厚生年金については、その原因となった傷病が業務上のものであったとしても支給されますので、労災保険の障害(補償)年金と両方同時に支給(併給)されます。その結果、年金額が1.7倍以上となる可能性があります。併給される場合、障害基礎年金および障害厚生年金は全額支給して、労災保険の障害(補償)給付を一部減額する調整が行われます。
①障害基礎年金のみ支給される場合    ⇒ 障害(補償)年金の88%を支給
②障害厚生年金のみ支給される場合    ⇒ 障害(補償)年金の88%を支給
③基礎・厚生の両年金が支給される場合  ⇒ 障害(補償)年金の73%を支給
※労災保険から一時金たる保険給付が行われた場合には、同一の事由で障害厚生年金から保険給付が行われる場合であっても減額調整はありません。
※遺族(補償)年金にも、調整率は違いますが同様の規定があります。

労災保険の主な給付

療養(補償)給付 治療や薬剤などに関する給付。
休業(補償)給付 療養のため労働することができず、賃金を受けられない場合に、
休業4日目から1日につき給付基礎日額の60%相当額を支給。
傷病(補償)年金 療養をはじめて1年6ヵ月を経過しても治らない場合で、
傷病等級第1級から第3級に当てはまる場合に、
休業(補償給付)に代え、年金スタイルの傷病補償年金が支払われます。
障害(補償)給付 後遺障害が残った場合、障害等級に応じ年金又は一時金が支払われます。
障害(補償)年金 障害等級1~7級 (給付額は下表)
障害(補償)一時金 障害等級8~14級 (給付額は下表)
 
障害
等級
障害(補償)年金 障害
等級
障害(補償)一時金
第1級 給付基礎日額の
313日分
第8級 給付基礎日額の
503日分
第2級 〃   277日分 第9級 〃   391日分
第3級 〃   245日分 第10級 〃   302日分
第4級 〃   213日分 第11級 〃   223日分
第5級 〃   184日分 第12級 〃   156日分
第6級 〃   156日分 第13級 〃   101日分
第7級 〃   131日分 第14級 〃   56日分
介護(補償)給付 障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する被災労働者が常時又は
随時介護を必要とし、かつ当該介護を受けている場合に支払われます。
遺族(補償)給付
遺族(補償)年金 被災労働者が死亡した場合、その遺族に対して
支払われます。
遺族(補償)一時金 遺族(補償)年金を受ける遺族がいないときに
支払われます。
葬祭料(葬祭給付) 葬祭を行う遺族等に支払われます。
・業務上の事故の場合には「補償」の文字がつきますが、通勤災害の場合には付きません。
・葬祭は業務上の事故の場合には「葬祭料」、通勤災害の場合には「葬祭給付」といいます。

労働福祉事業

労災保険は上記の保険給付を行うだけでなく、被災労働者及びその遺族に対し、福祉の増進を図るため、労働福祉事業を行っています。その主な制度は次のとおりです。

特別支給金

休業特別支給金

休業補償給付又は休業給付を受ける者に対し、
休業4日日から1日につき給付基礎日額の20%に相当する額が支給されます。

障害特別支給金

障害(補償)給付を受ける者に対し、障害等級に応じ、
次の額の一時金が支給されます。

障害等級 障害等級 障害等級
1級 342万円 6級 192万円 11級 29万円
2級 320万円 7級 159万円 12級 20万円
3級 300万円 8級 65万円 13級 14万円
4級 264万円 9級 50万円 14級 8万円
5級 225万円 10級 39万円

遺族特別支給金

遺族(補償)給付の受給権者に対し、300万円の一時金が支給されます。

傷病特別支給金

傷病(補償)年金を受ける者に対し、傷病による障害の程度に応じて次額の一時金が支給されます。

傷病等級
1級 114万円
2級 107万円
3級 100万円


特別給与(ボーナス等)を算定の基礎とする特別支給金

障害特別年金

障害(補償)年金を受ける者に対し、障害の程度(1級から7級)に応じて、次の額の年金が支給されます。

障害
等級
障害
等級
1級 算定基礎日額の313日分 5級 算定基礎日額の184日分
2級 算定基礎日額の277日分 6級 算定基礎日額の156日分
3級 算定基礎日額の245日分 7級 算定基礎日額の131日分
4級 算定基礎日額の213日分

被災日以前1年間に受けた特別給与の額(算定基礎年額)
算定基礎日額=365

障害特別一時金

障害
等級

障害
等級

8級

算定基礎日額の503日分

12級

算定基礎日額の156日分

9級

算定基礎日額の391日分

13級

算定基礎日額の101日分

10級

算定基礎日額の302日分

14級

算定基礎日額の56日分

11級

算定基礎日額の223日分



障害(補償)一時金を受ける者に対し、障害の程度(8級から14級)に応じて、次表の額の一時金が支給されます。

遺族特別年金

遺族(補償)年金を受ける者に対し、遺族の数等に応じて、次の額の年金が支給されます。

遺族の数

1人

算定基礎日額の153日分
(その遺族が55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分)

2人

算定基礎日額の201日分

3人

算定基礎日額の223日分

4人以上

算定基礎日額の245日分


遺族特別一時金

遺族(補償)一時金を受ける者に対して、次の額の一時金が支給されます。

(1) 労働者の死亡の当時、遺族補償年金又は遺族年金の受給資格者がいないとき
算定基礎日額の1,000日分

(2) 遺族補償年金又は遺族年金の受給者となった者がすべて失権した場合で、それまでに支給された遺族特別年金の合計額が算定基礎日額の1,000日分に満たないとき
その合計額と算定基礎日額の1,000日分との差額

傷病特別年金

傷病(補償)年金を受ける者に対し、傷病等級に応じて次の額が支給されます。

傷病等級
1級 算定基礎日額の313日分
2級 算定基礎日額の277日分
3級 算定基礎日額の245日分


被災労働者等援護事業

外科後処置

障害(補償)給付を受けた被災労働者が、義肢装着のための断端部の再手術、顔面醜状の軽減のための整形手術などを労災病院等において無料で受けられます。

義肢等の支給

必要があると認められる者に対しては、義肢・装具、義眼、眼鏡、車いす、補聴器、かつら、重度障害者用意思伝達装置等が支給されます。

旅費の支給

義肢、上肢装具、下肢装具、体幹装具、座位保持装置、車いす、電動車いす又はかつらの採型若しくは装着のため旅行する者等に支給されます。

脊髄損傷者
等に対する
アフターケア

せき髄損傷、頭頸部外傷症候群、慢性肝炎、振動障害等の傷病にり患した者は、診察、保健指導、保健のための処置、検査、薬剤の支給等が受けられます。

労災就学援護費
の支給

遺族(補償)年金、1級~3級の障害(補償)年金、傷病(補償)年金受給者(特に重篤と認められる方で、在学者等である子と生計を

同じくしている者に限ります。)で学費の支払いが困難な場合、以下の額の支給が受けられます。

主な支給対象 支給額(月額)
小学生 12,000円
中学生 16,000円
高等学校等 16,000円
大学等 39,000円
★[通信制] 中学校、専修学校(一般課程・高等課程)、 特別支援学校の高等部、中等教育学校の後期課程、高等学校 13,000円
★[通信制] 専修学校(専門課程) 30,000円
[通信制]大学 30,000円

労災就労保育援護費の支給

遺族(補償)年金、1級~3級の障害(補償)年金、傷病(補償)年金を受ける者又はその家族で、未就学の児童を保育所、幼稚園等に預け、その費用を援護する必要があると認められる場合に、児童1人月額12,000円が支給されます。

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